新しいものを生み出すことだけが偉いのではない。ビジネス的には。
「うちの会社に入って何がやりたいですか?」
という質問に対して、
「まだ世の中にない新しいもの・サービスを生み出したいです」
といった回答は学生的には普通である。
「今あるもの・サービスを継続していきたいです。」
などと言う学生がいるとは到底思えない。
私は新しいものを生み出したいと思って会社に入ったし、ほとんどの人が(本当にそう思っているかは別として)似たようなことを言っていた。
学生や若手はとにかく新しいことがやりたいと思っている。会社側も、「新しいことにどんどんチャレンジしていけ」と表向きには言っている。だから、「すでにあるものの継続」にはどうしても熱が入らない。
私の部署では情報通信機器を開発しており、毎年のように新機種が出るわけだが、全員が新機種の開発をやっているわけではなく、「新機種開発」、「既存機種マイナーチェンジ」、「品質評価」の三つの仕事チームに分かれている。
この三つのうち、若手の興味はほぼ確実に新機種開発に向く。なぜなら、新しいものを生み出したくて会社に入ったからだ。
だが、私の部署では新人をいきなり新機種開発チームに入れることはない。まず「品質評価」で機器に必要な品質と評価方法について学び、次に「既存機種マイナーチェンジ」で設計業務に慣れるという、いわゆる下積みを経験させた後、「新機種開発」か「既存機種マイナーチェンジ」のどちらかに入れる、というのが課長の方針である。
しかしこの下積み期間は人によっては3年以上続き、この間に若手はすっかり仕事に対する意欲をなくしてしまい、先輩たちは何人も辞めていった。辞めた先輩の一人から、「君のそのやる気も半年後にはなくなっているよ」と死んだ目で言われた。
◆なぜ課長の方針は若手のやる気をなくしてしまうのか
それは、課長は会社側・ビジネス側の人間であるからだ。
若手は「新しいものを生み出すこと」が偉いと思っているが、ビジネス的には「今あるものの継続」が肝心要なのだ。
私の部署では毎年のように新機種を出しており、業績は社内ではそこそこ良い方である。しかし、実は毎年出している新機種で儲けているのではない。儲けを出しているのは、今から5年以上前に開発された過去機種である。この売れている機種のマイナーチェンジを何世代も行うことによって、継続して利益を生み出し続けているというのが現実である。
つまり課長的には、本当に偉いのは「既存機種マイナーチェンジ」であって、「新機種開発」ではないということである。だから、若手には「既存機種マイナーチェンジ」の重要性を理解して欲しいのだ。
しかし、若手からすれば、極端に言えば会社が儲かろうが儲かるまいがそんなことはどっちだっていい。「既存機種マイナーチェンジ」は利益を生むが、一からものを生み出す力は生まない。一刻も早く「新機種開発」に携わり、どこへ行っても通用する技術を身につけなければならない。なにしろ終身雇用の時代は終わり、頼るべきは会社ではなく、自分自身なのだ。
近年、若手がなかなか育たない原因として、こうした会社と若手の利害の不一致という問題が根本にある。
**
最近では、このようなこともあって若手を早期から新機種開発に入れるという流れができつつある。まさにそんな時期に入った私は非常についていると感じている。
ぶっちゃけ下積みなんかクソ食らえだと思っているから。
今あるものの継続はビジネス的には大事だが、技術者的にはつまらないものだ。それに、継続させるためにも常に新しいものを生み出し続けなければならない。同じものが売れ続ける現状に安心してはならない。
おれたちはペヤングだけに頼って生きていくわけにはいかない。
という質問に対して、
「まだ世の中にない新しいもの・サービスを生み出したいです」
といった回答は学生的には普通である。
「今あるもの・サービスを継続していきたいです。」
などと言う学生がいるとは到底思えない。
私は新しいものを生み出したいと思って会社に入ったし、ほとんどの人が(本当にそう思っているかは別として)似たようなことを言っていた。
学生や若手はとにかく新しいことがやりたいと思っている。会社側も、「新しいことにどんどんチャレンジしていけ」と表向きには言っている。だから、「すでにあるものの継続」にはどうしても熱が入らない。
私の部署では情報通信機器を開発しており、毎年のように新機種が出るわけだが、全員が新機種の開発をやっているわけではなく、「新機種開発」、「既存機種マイナーチェンジ」、「品質評価」の三つの仕事チームに分かれている。
この三つのうち、若手の興味はほぼ確実に新機種開発に向く。なぜなら、新しいものを生み出したくて会社に入ったからだ。
だが、私の部署では新人をいきなり新機種開発チームに入れることはない。まず「品質評価」で機器に必要な品質と評価方法について学び、次に「既存機種マイナーチェンジ」で設計業務に慣れるという、いわゆる下積みを経験させた後、「新機種開発」か「既存機種マイナーチェンジ」のどちらかに入れる、というのが課長の方針である。
しかしこの下積み期間は人によっては3年以上続き、この間に若手はすっかり仕事に対する意欲をなくしてしまい、先輩たちは何人も辞めていった。辞めた先輩の一人から、「君のそのやる気も半年後にはなくなっているよ」と死んだ目で言われた。
◆なぜ課長の方針は若手のやる気をなくしてしまうのか
それは、課長は会社側・ビジネス側の人間であるからだ。
若手は「新しいものを生み出すこと」が偉いと思っているが、ビジネス的には「今あるものの継続」が肝心要なのだ。
私の部署では毎年のように新機種を出しており、業績は社内ではそこそこ良い方である。しかし、実は毎年出している新機種で儲けているのではない。儲けを出しているのは、今から5年以上前に開発された過去機種である。この売れている機種のマイナーチェンジを何世代も行うことによって、継続して利益を生み出し続けているというのが現実である。
つまり課長的には、本当に偉いのは「既存機種マイナーチェンジ」であって、「新機種開発」ではないということである。だから、若手には「既存機種マイナーチェンジ」の重要性を理解して欲しいのだ。
しかし、若手からすれば、極端に言えば会社が儲かろうが儲かるまいがそんなことはどっちだっていい。「既存機種マイナーチェンジ」は利益を生むが、一からものを生み出す力は生まない。一刻も早く「新機種開発」に携わり、どこへ行っても通用する技術を身につけなければならない。なにしろ終身雇用の時代は終わり、頼るべきは会社ではなく、自分自身なのだ。
近年、若手がなかなか育たない原因として、こうした会社と若手の利害の不一致という問題が根本にある。
**
最近では、このようなこともあって若手を早期から新機種開発に入れるという流れができつつある。まさにそんな時期に入った私は非常についていると感じている。
ぶっちゃけ下積みなんかクソ食らえだと思っているから。
今あるものの継続はビジネス的には大事だが、技術者的にはつまらないものだ。それに、継続させるためにも常に新しいものを生み出し続けなければならない。同じものが売れ続ける現状に安心してはならない。
おれたちはペヤングだけに頼って生きていくわけにはいかない。
最新コメント