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2013年12月

修士論文はストーリーを決めるとこまでで8割

修士論文を執筆するプロセスのうち、もっとも重要なのは、ストーリーを組み立てることだ。「どんなお話の流れにするか」が決まれば実はもう修士論文は8割方完成したも同然である。残ったプロセスは実際に書く(打ち込む)というただの流れ作業だけだ。「書く」プロセスは全体の8割もの時間を食うが、論文の完成度には2割程度しか寄与しない。

いやいや何言ってんねん(笑)

って思うかもしれませんが、最近ぼくは修士論文を書き始めてそんな仮説を立てました。

他の人が論文をどう書き進めているのかぼくはあまり知りませんが、まず先輩の論文を見て書式等を参考にして、なんとなく前の方から順に書き始めるというのがよくあるパターンだと想像しています。やった実験内容や結果のグラフや考察を時系列順につらつら書きながら適宜修正していくというスタイルで。

ぼくも最近ようやく論文の執筆にとりかかろうとしたんですけど、最初の一歩がなかなか踏み出せませんでした。
小学校の読書感想文のはじめの一文ってめちゃくちゃ悩んだじゃないですか。まさにそんなかんじで。

それもそのはずで、ストーリーが自分の頭の中で全然まとまっていなかったんです。これでは書き始められません。
いや、正確には書けなくはないんですけど、話がまとまってないまま書き進めてしまうと途中どこかで繋がらなくなったり、始めのほうと終わりのほうで一貫性がなくなってよくわからない論文になってしまいます。そういう論文って学生が書いたやつだとけっこうあって、そうなってしまうのが嫌だったんです。

そこで、一旦論文を「書く」のはやめにしました。そして、さっきのような仮説を立て、まずはストーリーを組み立てることに専念することにしました。

ストーリーの組み立てに使ったのは、研究発表でおなじみのパワポです。過去に研究会で発表するために作成したスライドを一通り眺め、重要なグラフや知見を適当に項目ごとに分けて新しいスライドにペタペタはっていきました。
そして、それらを「時系列にはこだわらず、一番話がよくまとまる順番」に並べ変えるということをしました。

このようなやり方でストーリーを考えた結果、なんと一番最後にやった実験結果を話の一番始めに持ってくれば全てのつじつまが合うということに気が付きました。話がうまくまとまるなら、別に時系列順を守る必要などないのです。
話の大筋を決めた後は、それに矛盾しないように研究背景や目的を考えていきます。そして、全体の話がうまく繋がるように、各スライド間に適宜新しいスライドを挟んでいきます。

こうした「研究活動の時系列を無視したストーリーの組み立て」は、論文の前の方から順にやったことを書き進めていくやり方では不可能です。

さらに、パワポで先にストーリーを組み立てる利点はこれだけではありません。
大体話が自分の中でまとまったところで、指導教官にそのスライドをもっていって「大体こんな感じで修士論文書いていこうと思ってるんですけど、どうですか?」と聞くことができ、全体像をいち早く見せた上で意見をもらえるのです。
もし話がおかしければこの段階で軌道修正することができますし、もしその話の流れでよければあとはその流れに沿って実際に書き進めればいいだけです。

修士論文の執筆をものづくりのプロセスに例えると、先のストーリーを組み立てずにとりあえず書きながら後で修正していくやり方は、コンセプトスケッチや設計図もなしにいきなりモノを作るようなものです。それでもなんとか作れなくはないですが、ある程度進んだ段階で部品がうまく組み合わないとか、最初に思っていたものとどうも違うものができてしまったりとかで結局降り出しに戻ってしまい、無駄な労力を費やしてしまうことになりかねません。

一方、書く前にパワポでストーリーを組み立てるやり方は、実際に作る前に入念にデザインを練って設計図を描いてから作るようなイメージです。もし、設計段階で不具合が見つかっても、修正コストは作りはじめた後とは比べものにならないくらい小さく抑えることができます。

そう考えると、論文を書いてからその論文の流れに合わせて発表のためのパワポを作るのは明らかに順序が逆なんですよね。


修論書くならまずはパワポでストーリーを。

人は見た目が9割。修論はストーリーが8割。
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ホワイトノイズ+フーリエ変換の素敵

機械というものは、何らかの信号が入力されてはじめて動きます。そして、その入力が異なると機械は異なる動きをします。
それゆえに、機械を設計する際にはどんな入力を加えるとどんな動き(出力)をするのかを把握する必要があります。

電気信号にしろ、力学的信号にしろ、機械に入力する信号の中で最も一般的なものは振動する入力です。
制御工学的に安定である(時間とともに出力がある範囲に収まる)機械では、出力の周波数はやがて入力の周波数と同じになります。しかし、その出力の大きさは周波数によって一定にはならず、機械によって大きく動く周波数やほとんど動かない周波数が存在します。
このことは機械だけではなくあらゆる物体にもいえて、例えば、水が入ったヨーヨーの振動に合わせてうまく手で力を加えると振幅は大きくなりますが、あまり高い周波数で力を加えてもヨーヨーはほとんど動きません。

したがって、機械に望み通りの動きをさせるためには、「何ヘルツの信号を入力するとどれだけの大きさの出力となるか」を知ることが重要なわけです。

では、それをどうやって調べればいいのかというと、普通に考えれば低い周波数から高い周波数まで一つ一つ入力してその時の機械の出力を一つ一つ記録して計算すればいいはずです。

しかしこれが非常に面倒くさい。
0.5ヘルツ刻みとかで一つの周波数について複数回実験して、その平均をとって…なんてやってると、「これきりがないな」なんて途方に暮れるわけです。

実際ぼくもそういうもんだと思っていたので、面倒くさいなと思いながらシコシコ実験を繰り返していました。


もし、全ての入力周波数に対する出力が一度で計測できたら、それってめちゃくちゃいいですよね。
実はそんな夢のような方法があることをつい最近知りました。

それが、「ホワイトノイズを入力する」という方法です。
ホワイトノイズとは、同じ大きさの全ての周波数を含んだ信号のことです。

こいつを入力して、出てきた出力を記録します。
入力と出力のそれぞれをエクセルでフーリエ変換します。
(出力のフーリエ変換)/(入力のフーリエ変換)をエクセルのimdivっていう関数で計算します。
imabsっていう関数を使ってその絶対値をとります。

すると、各周波数ごとの(出力の振幅)/(入力の振幅)がわかります。


これ実際にやってみたんですけど、まじヤバいんすよ。超感動もんなんすよ。

どれぐらいすごいかというと、例えば好きな女の子の食べ物の好みを詳しく知りたかったら、無数にある食べ物を一つ一つどれぐらい好きか聞いたりしないといけないじゃないですか。いやべつに好きな女の子じゃなくてもいいんですけど。

そんなことよっぽど長い時間をかけないと普通は無理ですよね。

それが、ありとあらゆる食べ物を同じ量いっぺんに入れてごちゃ混ぜにした料理を食べてもらったら、それぞれの料理がどれぐらい好きかを一度に数値化してくれるみたいな。便利!

これぐらいすごいことなんですよ。
ホワイトノイズとフーリエ変換は!


けど考えみると、この方法機械だけだったらなんとなくいけそうな気もしますよね。人間と違って物理的特性が決まっているので。

だけど、ぼくが扱っているのは人間と機械を合わせたものの特性なんです。
つまり人間の特性を知りたいんです。

人間の物理的特性ってたくさん研究されているんですけど、まぁ完璧なのってないんです。人間は機械と違って複雑怪奇なんです。だからこの方法は試してみるまで通用しないと思っていたんですよ。

そしたら、人間にも通用したんです。
だからさっきのよくわからない食べ物の例えと同じぐらいすげえ!ってなりました。


ちなみに、ホワイトノイズは連続関数でこれをコンピュータで完璧に再現するのは不可能なので、正規乱数っていうガウス分布になる乱数を使うことでホワイトノイズを疑似的に再現できます。

このホワイトノイズを入れる方法は、スピーカーの周波数特性を計測する時等によく用いられる方法で、けっこう一般的な方法のようなので、覚えておいて損はないはずです。

何も考えなくていい時に考えごとをすると捗るぞ

この二日間夜勤だったんですよ。そう、日雇い派遣バイトの(しつこい)。

久々にはずれ現場を引いてしまったんです。仕事内容は駐輪場のレールを拭きまくるだけ。
これがもうただただ退屈で終わりの見えない作業でして。

一日目は作業しながら早くてそこそこ綺麗に拭けるやり方を模索したりしてたんですけど、腰も痛いしつまんないしで相当だるかったんです。一日目の後半は寒い、腰痛い、早く帰りたいしか考えられず。


今日二日目だったんですけどもうレールの拭き方をばっちり会得しちゃってたんですよ。
何も考えなくても手が勝手に動いてました。


それでここからなんですけど、
「あ、これ何か考え事するのにちょうどいい時間なんじゃないか?」
と思いまして、途中で考えるのをストップしていたこととか普段ゆっくり時間を取って考えられていないこととか、普段ならもういいやと考えるのをやめてしまうようなことを考えることにしたんです。

そしたら、思いのほか色々なことをじっくり考えられたんです。
普段机に座ってずっと考えていてもなかなか思いつかない大学での研究のアイディアとか、実はこういうのって潜在的な需要あるんじゃないかってことを膨らませていったりとか、今後やりたいこととやらなきゃいけないことを頭の中で整理したりとか。
なんか今日冴えてるぞ!ってだんだんテンションも上がってきちゃって。

そうこうしているうちに本日の作業が終わりました。不思議なことに一日目あんなに辛くて長かった作業が「え?もう終わり?♪」って体も心も一日目より軽かったんですよね。


それで思ったんですけど、普段からこういう何も考えなくてもできることをやる時に意識的に考えごとをする習慣をつけるととてもいいんじゃないでしょうか。

例えば、普段なら掃除や洗濯等の家事をやっている退屈な時間も、家事も考えごとも同時に捗って一石二鳥でいいと思いませんか?(こんなことを言うとちゃんと効率のいい方法を考えながら順序立てて家事をされている人に怒られそうではあります)


四季リゾーツ社長の山中直樹さんは毎日旅館のトイレを自ら掃除するそうです。そしてその時間に新しいビジネスアイディアが浮かんだりすると言っていました。
おそらく、手を動かすことがいい刺激になるので机に座っているときよりも頭が冴えるのだと思います。

「何も考えなくてもいい時こそ考える」という習慣を身につけるといいことがあるかもしれません。

こんなにおいしい/こんなにつらい日雇い派遣バイト

日雇い派遣バイトを始めて4ヶ月近くたちました。まだ経験は浅いですがいろいろな現場を経験したので、日雇い派遣バイトでおいしかったこととつらかったことについて書きます。


◆こんなにおいしい日雇い派遣バイト

1.想像していたよりも体力的に楽

日雇い派遣というとものすごくきつい肉体労働をやらされるイメージがありますが、実際に体力的にきつかった現場はかなり少ないです。内装系の現場では養生(ブルーシートやプラスチックの板をテープで貼り合わせて壁や床を傷つけないように保護する作業)をすることが多いですが、これはめちゃくちゃ楽です。重い荷物は台車を使ってエレベーターで運ぶことが多いのでこれも楽勝。エレベーターが使えない建物や、イベント設営の現場など重い物を手で運ぶこともありますが、長時間運びっぱなしということはありません。分電盤をハタキでパタパタやる仕事とか照明のスイッチを押す仕事も超楽でした。

ぼくは学部時代に居酒屋でバイトしていましたが、そっちのほうが体力的にしんどかったぐらいです。


2.実働時間が短い現場も多い

例えば日勤で拘束時間が9時間程度の現場でも、実際に作業をしている時間はその半分ぐらいという現場も少なくありません。日雇い派遣バイトにできることは限られているからです。やることがない時は休憩場所で座って待機です。その時間は他の人としゃべっていてもいいし、スマホをいじっていても読書をしていても構いません。休憩時間とは別なのでもちろんその分の時給は発生しています。ぼくは最近スマホのKindleアプリで読書していることが多いです。

居酒屋のバイトでは当然ながら休憩時間以外はずっと働かなければなりませんでした。


3.早上がりがめちゃくちゃおいしい

これがもう最高です。9時18時現場で15時ぐらいに上がれたり、9時12時の現場で10時半に上がれたりといったことは珍しくありません。さらにおいしかったのが、22時5時の夜勤で23時半に終わって普通に電車で帰れたりしたこともありました。もちろん定時分の給料はもらえます。

居酒屋のバイトでは早く上がれてもその分給料が減るので嬉しくないです。しかも、15分程度のサービス残業は当たり前でした。


4.好きな時に働けてすぐお金になる

例えば、明日は昼から研究会があるから朝だけ短時間働こうみたいなこともできますし、この一週間は研究発表準備に集中したいから全く働かないぞもありです。また、給料は日払いで翌々日には振り込まれるので急な出費にも対応できます。「そんなすぐお金が入ったらすぐ使っちゃうんじゃないの?」と思いきや、「今日せっかく◯時間働いて稼いだ◯円をこんなところであっという間に浪費してたまるか」ってぼくはなります。まぁこれは人によりますが。

居酒屋バイトはシフト制で給料は翌月払いです。なので「今日はいくら稼いだ」という感覚が薄くて浪費していたように思います。


5.面倒な人間関係が極めて少ない

基本的に日雇い派遣バイトでは固定メンバーというものがありません。長くやっていると前に別現場で一緒だった人とたまたま同じ現場になって軽く挨拶することはありますが、ほとんど初対面です。これから仲良くなる必要もあまりないのでプライベートのことはお互いほとんど知らないままです。そんなドライな人間関係がいいんです。

居酒屋のバイトでは、ソリの合わない社員さんやアルバイトとも長く一緒に働かなければならないので表面上仲良くする必要がありました。気が乗らない飲み会もたまには参加しなければなりませんでした。いや、それはそれで楽しかったけどね。


◆こんなにつらい日雇い派遣バイト

いいことづくめの日雇い派遣バイトですが、もちろんつらいこともあります。なんせ日雇い派遣バイトですから。

1.きつい、汚い、危険なこともある

いわゆるブルーカラーの3Kです。想像よりも楽なことが多いとはいえ、慣れた人が多い建設現場にいきなり入ってろくな説明もないままやり方がわからなくてどなられたり、コツがわからないまま重い物を運んだりするときはやっぱりきついです。靴や服がホコリだらけになる汚い現場もあります。本当は禁止されている高所に登らざるをえない状況もありますし、ぼくはまだないですが不注意から人身事故を起こしてしまう可能性もあります。


2.搾取されてる感がでかい

日雇い派遣なので、下請けの下請けの下請けという仕事も普通です。説明の必要はないと思いますが、派遣元の間間でピンハネされてる感はすごくあります。また、派遣事務所の取り分も相当あるはずです。こんな働き方をいつまでも続けていては一生搾取される運命から逃れられません。まぁサラリーマンも同じようなものですが。


3.話が合わない

日雇い派遣で働く人の多くはパチンコや競馬などのギャンブルや風俗が大好きで、仕事以外の話はほとんどがそれです。ぼくはギャンブルをやらないし風俗にも行きません。だから話は合わないです。「普段なにやってるの?」と聞かれても、「大学院生なので研究室で研究してます」と返すとそれ以上興味を持たれません。面倒な人間関係がないことは良い事だと思いつつも、少し寂しさを感じてしまいます。コミュニケーション能力を高めるいい機会だと考えてることもできるんだけどなかなかなぁ…。


4.時々生きている意味がわからなくなる

黙々と作業をしていて、ふと「なんでおれこんなことやってるんだっけ?」って思うこともあります。一番印象に残っているのは、雨の中レインコートもなく次々とトラックで運ばれてくる大量のゴミを手作業でひたすら燃えるゴミと燃えないゴミに分ける作業をしていた時です。あのなんとも言えない虚しさは経験しないとわかりません。
ここまで酷い仕事は少ないですが、いずれにしてもとても生産的な仕事とは思えないものがほとんどです。


後半どんどん暗くなってしまいましたね。でもトータルで考えるといいバイトですよ本当に。

実はもう目標金額が貯まったのでやめるつもりだったんですが、まだ空いた時間にちょこちょこやってます。いいバイトだからね。